“輸送”のための原子力－水素、電気、合成燃料の可能性

摘要

自動車、航空機など輸送セクターで消費されるエネルギーは、日本でも世界全体でも、最終エネルギーの約1/4を占めており、この大部分は石油によって賄われている。 輸送に使用されるエネルギーを原子力から供給できれば、地球環境、エネルギー自給への効果は大きい。自動車を駆動するエネルギー·キャリアー（媒体）としては、現在はガソリン、軽油などの炭化水素燃料が使用されているが、これに代わるエネルギー媒体として、水素、電気、それに合成燃料（天然ガスや石炭などから製造されるDME、メタノール、FTオイルなど）やバイオ燃料（バイオマスから製造されるエタノールなど）が有望視されている。 原子力を輸送用のエネルギーとして使用するには、原子力の熱エネルギーをこれら輸送に使用可能な適切なエネルギー媒体に転換する必要がある。 これらの新しいエネルギー媒体が果たして輸送用としてどのような需要が出て来るか、また必要なエネルギー媒体の製造に原子力がどのように対応していくか、以下、私見を述べる。