地熱発電なとの深部地下開発時の新たな流動モニタリング技術の開発

摘要

再生可能エネルギーの一つである地熱発電は、天候や時間帯に左右されずに安定した発電ができるメリットがある。一般的に、地熱発電に必要な要素として、「熱源」、「熱の媒介流体」、「流体の移動経路」が挙げられる。これらの要素のうち、「熱源」は地下のマグマ溜まりが役割を担うことが多く、このことが火山帯に地熱発電所が多く立地している理由である。日本列島は環太平洋造山帯に位置し、世界3位相当の地熱発電ポテンシャル（2,300万kW）を持つ。この熱を地上へ回収するための「媒介流体」が必要となるが、最も一般的に利用される流体は水である。この水の供給源の多くは、雨水や融雪水などの自然由来のものである。これらの水は、亀裂や断層といった地下の「移動経路」を通り、熱水を蓄えることのできる地層（地熱貯留層）へと到達する（図1）。この熱水を地上に回収し、地熱発電は行われる。