CAPSマ一力一を用いた香酸カンキツの品種識別技術の確立

摘要

香酸力ンキツの国内生産量の増加や輸出量の拡大を受け て，香酸力ンキツの品種識別技術の確立と新品種の育成者 権の保護が求められている.33品種,系統の香酸カンキ ツについて，生食用カンキツの品種識別に適用した26種 類のCAPSマーカーを用いて遺伝子型を調査した結果，形 質や産地によって複数の系統に分類されていたュズ(C. junos hort. ex Tanaka),スタ''チ(C. sudachi hort. ex Shirai；, ユコウ(C. yuko hort. ex Tanaka),ジャバラ（C. jabara hort. ex Tanaka)は系統間で遺伝子型がすべて同一であることが 示された.また，5種類のCAPSマーカーで生食用カンキ ツにみられない新規のアレルが検出された.TfOOOl/MspI を除く 25種類のCAPSマーカーの遺伝子型データを用い てMinimalMarkerプログラムで最少マ一カーセットを算出 したところ，主要な10種類の香酸カンキツを含むカンキ ツ35品種,系統は6種類のCAPSマーカ一で相互に品種, 系統を特定できることが明らかとなった.MARCOプログ ラムを用いて徳島県で育成された三倍体の新品種‘阿波す ず香’ (C. sudachi (2n = 4x) x C. junos (2n = 2x))の親子関 係を鑑定したところ，‘阿波すず香’が両親のいずれかか ら受け継いだアレルを有し，親子関係に矛盾がないことが 示された.国内で流通する主要な香酸力ンキツのDNA品 種識別技術の確立により，国産ブランドや育成者権の保護 が強化された.謝辞本研究の実施に当たり，供試材料の採取に協力 いただいた徳島県立農林水産総合技術支援センタ一農産園 芸研究課,津村哲宏専門研究員に心より感謝申し上げる.本研究は文部科学省科学技術人材育成費補助事業「ダイ バーシティ研究環境実現イニシアティブ（牽引型)」に基 づく研究助成金により実施したものである.