JPP-NE 丁が提供する有効積算温度計算シミユレー シヨンを用いた大阪府における才才タバコガの 成虫発生時期予測：気温上昇の影響評価の試み

摘要

近年，地球温暖化に伴う農業害虫の発生地域の拡大や 発生量の増加，発生時期の早期化等が懸念されている (桐谷,湯川，2010)0才才タバコガHelicoverpa armigera (Hiibner)(チョウ目：ヤガ科）は熱帯から亜熱帯地域 を中心に分布する野菜や花き等の重要害虫で，日本では 1990年代半ば以降，大阪府を含めて全国的に発生が増 加傾向にある（吉松，1995 ；浜村，1998 ； 2000 ;國友ら, 2006;砂池ら，2012) o 本種は初夏から秋にかけて多く発生し，幼虫がトマト やナス，レタス，キク等の新芽や葉，果実，花,蕾等を 食害して商品価値や収穫量を低下させる（吉松，1995 ； 浜村，1998; 2000)。また，幼虫は茎や果実，結球部等 に食入することが多く，その被害を防ぐためには，食入 前のふ化幼虫から若齢幼虫に対して殺虫剤を施用するこ とが重要である（吉松，1995)。特にレタスでは，結球 部に食入する前のふ化直後の幼虫を対象に防除を行う必 要がある（豊嶋，1999)。このため，本種をより効果的 かつ効率的に防除するには，幼虫のふ化盛期をできる限 り正確かつ早期に予測する必要がある。そして，その予 測には，親世代成虫の発生盛期の把握が欠かせない。国 内の多くの地域では，本種成虫の発生盛期を推定するた め，フェロモントラップを用いた雄成虫の誘殺数調査が 実施されている（浜村，1998 ; 2000 ;栗原，2010)。