高速自動金型交換による生産性向上

摘要

近年，プラスチック成形加工メーカーでは徹底的な製造原価の削減が求められている。その方法として，サイクル時間の短縮と段取り替え作業の省人化があげられる。しかしサイクル時間短縮への取組みにおいて，一般的なプラスチック成形では，成形品の要求精度を確保しながら固めるには，溶融した樹脂を金型に充填した後にある程度の冷却時間が必要であることから，ハイサイクル化の限界が近づいている。射出成形機内で樹脂が充填された金型Aを射出成形機の外に搬出し冷却する。その冷却中に金型Bを射出成形機に搬入し樹脂を充填する。充填後に金型Bを射出成形機の外に搬出し冷却する。金型Bと入替えに，冷却が完了した金型Aを射出成形機に搬入して成形品を取出し，次の樹脂を充填する。これを繰り返せば，1台の射出成形機で通常成形の1サイクルの時間内に2つの金型で成形することができる。これを2型同時成形と呼ぶ。2型同時成形では，金型の高速自動交換により段取り替え作業の人手も削減することができる。本報では，高速自動金型交換台車を利用した2型同時成形による生産性の向上および段取り替え作業の省人化を紹介する。