46.精索原発の低悪性度B細胞性リンパ腫

摘要

75歳男。X年7月右鼠径部に弾性硬の腫瘤を自覚。CTで精索から小腸間膜まで造影される軟部組織と腸間膜リンパ節腫大を認めた。右高位精巣摘除術の病理組織像で精索に小型?中型のリンパ球様異型細胞集簇を伴う腫瘍性病変を認め，免疫染色でCD20, Bcl-2陽性,CD10, EBER-ISH陰性, Ki-67 10%,FACSでの偏位があり低悪性度B細胞性リンパ腫と診断。精巣病変は病理学的になし。染色体検査で7細胞中6細胞にadd(1)(p36.1), t(14;18) (q32;q21.3)を含む複雑核型を認めた。精索原発悪性リンパ腫は稀で,検索範囲ではDLBCL等の中?高悪性度リンパ腫に限られる。過去の報告例で高位精巣摘除術と化学療法併用が一定奏効を示し,精巣原発同様中枢浸潤リスクがあるため本例でも化学療法を開始した。精索原発低悪性度リンパ腫は珍しく，臨床経過を含め興味深いと考え報告する。