乳房温存療法後に発症した放射線誘発性乳房血管肉腫の1例

摘要

患者は58歳,女性.2012年左非浸潤性乳管癌に対し乳房部分切除術およびセンチネルリンパ節生検，全乳房放射線照射を施行した.6年11カ月後に左乳房の浮腫を認め生検で肉腫が疑われた.左乳房全切除術を施行,切除標本の病理組織学的所見より放射線誘発性血管肉腫と診断した. 乳房全切除術後3カ月で肺転移が出現しpaclitaxelによる化学療法を開始,pazopanib, eriblin, trabectedinと化学療法を継続した.乳房全切除術後22カ月で病勢コントロールが得られずBest Supportive Careの方針となり,乳房全切除術後27力月で死亡した.放射線誘発性血管肉腫は まれな疾患であるが,その死亡率は高く放射線療法の合併症として考慮する必要がある.乳癌治療における放射線照射の機会が増えたことにより今後の発症増加が予想される. ^g>乳房温存療法,放射線誘発性血管肉腫,化学療法