二〇二〇年七月二日、経済協力開発機構·原子力機関(OECD/NEA)は「原子力新設のコスト抑制」に向けた議論をまとめたレポート“Unlocking Reductions in the Construction Costs Oh Nuclear: A Practica-Guide for Stakeholders”を発表した。二〇一七年から専門家グループ“Reducingthe Cost of Nuclear Power Generation(REDCOST)”会合において、フランス原子力庁(CEA)の研究者ミシェル·バルテルミイ(Michel Berthelemy)を座長とし、一〇か国とIAEAの計一二名のメンバーにより、近年の新規原子力発電所建設プロジェクトにおけるコスト·オーバーランの事例やコストを予定内に納めた事例などから、建設コスト上昇の要因とその防止策について政策提言をとりまとめたものである。筆者はこの専門家会合に唯一の日本人メンバーとして参加した。本稿では、このレポートの分析と提言を概観するとともに、日本の実績も併せてレビューし、現状と将来展望を踏まえた「建設コスト抑制」の取り組みについて提言する。
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