抗がん剤の眼科的副作用

摘要

抗がん剤には「殺細胞性抗がん剤」「分子標的薬」「ホルモン製剤」「免疫チェックボイ ント阻害薬」がある.その眼科的副作用は眼臉，角結膜，ぶどう膜，水晶体，網膜，視神経と多 岐にわたる.頻度が多く注意すべき眼科的副作用としては，殺細胞性抗がん剤のフルォロウラ シル系抗がん剤やタキサン系抗がん剤による角膜，涙道障害，網膜障害，分子標的薬のEGFR チロシンキナーゼ阻害薬ゃ抗HER-2抗体による角膜障害，免疫チエックボイント阻害薬の免 疫関連有害事象によるぶどう膜炎，ドライアイ，重症筋無力症である.いずれの眼科的副作用 も局所や全身投与による対症療法の反応に乏しく，進行すると不可逆的な視機能障害に至る例 もあるため，日頃から処方医と密な連携をとり，休薬の依頼を遅滞なく行える環境を整備する ことが望ましい.