高Mnオーステナイト鋼の凝固割れ感受性に及ぼす合金元素の影響

摘要

一方，高Mn鋼を構造用鋼として活用するにあたっては，強度確保も重要であることは言うまでもない．高Mn鋼は一般の低合金構造用鋼と異なり変態強化を活用できないうえ，Mnは多量に添加してもオーステナイトの固溶強化能を有していないことから，CやCrに代表される固溶強化能を有するMn以外の各種合金を適量添加することで，オーステナイト系ステンレス鋼やアルミニウム合金と比較して高強度化できる．本研究では，高Mn鋼の合金設計に関わる各種合金元素の影響が先行研究においてほとんど調査されていないことを踏まえ，高Mn鋼の凝固割れ感受性に及ぼす合金元素の影響を実験的·理論的に検討することを目的とした．凝固割れ感受性はトランスバレストレイン試験を用いてBTRを実験的に取得した．凝固組織観察結果を参考に，凝固割れに対する理論解析より固液共存温度範囲を算出することで，凝固脆性温度範囲と比較した．これらの結果から，高Mn鋼における合金元素の影響を定量的に評価した．