ふくしま(ME)メンテナンスエキスパート

摘要

福島県は全国第3位の面積を有し，山脈等によって中通り·会津·浜通りの3地域に分けられており，交通インフラも多様で延長も長いという特徴を有している。県内の県また市町村管理の交通インフラ(橋梁，トンネル，およびシェッドなど)は，2018年時点で供用後40年を経過するものが半数を超えている。また，県内の3地域では気候，地形や地質など大変異なり，3地域における施設の形式のみならず維持管理に考慮すべき作用要因も異なっている。それら施設の本格的な維持管理·更新時代を迎える中，県内の行政機関を始め，地域の建設業やコンサルタントに携わるメンテナンス技術者の人材不足が深刻な問題となっていた。2017年1月12日に「福島県建設業審議会」の答申において，「インフラメンテナンス技術者育成·確保に関する産学官による連携強化」が明記され，2017年7月11日インフラメンテナンス技術者育成協議会(以下，協議会と呼ぶ)が設立された。協議会は，「地域のインフラは，地域自らが守る」考えの下，福島県の社会インフラマネジメントの中核となる技術者を安定的に育成することを目的として，研修のためのコースとして2018年11月に「ふくしまメンテナンスエキスパート(基礎)コース(以後，ME(基礎)コース」，2019年には「ふくしまME(防災)コース」，「ふくしまME(保全)コース」を実施し，現在に至っている。