(業績）「不斉合成を変革する動的らせん高分子触媒の開発」

摘要

有機合成の発展は精密に構造制御された高分子の合成を可能なものとしつつあり.高分子主鎖に形成されるキラルらせん構造を利用した機能性材料の開発が進められている。特にキラル触媒としての応用においては，高分子構造に基づいた触媒の再利用性の向上のみならず.触媒活性や立体選択性の飛躍的向上により，従来のキラル低分子触媒を凌駕するキラル高分子触媒が創製できるものと期待される。しかしながら，完全な一方向卷きらせん構造の構築が求められることから，キラルらせん高分子触媒の開発は困難であった。山本氏は，左右らせん間に平衡のある動的らせん構造を有するポリ（キノキサリ ン-2,3-ジィル）（PQX)に着目し，らせん不斉制御法の確立に基づいたキラルらせん高分子触媒の開発を行ってきた。以下に代表的な業績の概要について示す。