院内心停止患者の自発循環再開に対するバソプレシンおよびメチルプレドニゾロンの効果

摘要

目的院内心停止に対してバソプレシン(AVP)とメチル プレドニゾロン(mPSL)の組み合わせが自発循環の再 開を改善するかどうか比較検討を行った。方法患者:院内心停止に対して少なくとも1回のエピネフリン投与を受けた18歳以上の患者介入:エピネフリンの初回投与後にAVP 201UとmPSL 40mgを投与。AVPの追加投与は，各エピネフリン投与後に最大4回投与比較:生理食塩液 主要評価項目:少なくとも20分間胸骨圧迫を必要としない自発循環の再開 副次評価項目:30日後の生存率,および良好な神経学 的転帰 試験デザイン:多施設ランダム化二重盲検試験 結果 対象患者501人（平均年齢71歳,男性64%）は介入 群237人,プラセボ群264人に割り当てられた。主要評 価項目である自発循環の再開率は介入群42%,プラセ ボ群33%であった（リスク比:1.30, 95%CI 1.03～1.63）。副次評価項目の30日後の生存率は,介入群9.7%,プラ セボ群12%であった（リスク比:0.83, 95 % CI 0.50～ 1.37）。また，介入群7.6%,プラセボ群7.6%で良好な神 経学的転帰が認められた（リスク比：1.00, 95%CI 0.55～1.83）。自発循環が再開した患者を対象に副作用の 比較を行ったところ，介入群，プラセボ群に有意な差は 認められなかった。結論介入群は，プラセボ群と比較して,自発循環の再開率 が有意に増加した。しかし,長期生存率は両群で有意差 は認められなかった。