リニア中央新幹線の浮上走行の原理と走行騒音の実態，浮上コイルの信頼性

摘要

リニア新幹線(以下，リニア)は，車両上の超電導磁石とU字形ガイドウエイ側壁に固定した8の字形状の浮上案内コイル(図1)との電磁誘導作用で車両を浮かせ走る方式である.まず助走区間は，リニア車両はゴムタイヤで走行する.このとき超電導磁石の中心位置が浮上案内コイルの交叉部の高さとなるよう設計されている.リニア車両を加速し，150km/hに達するとゴムタイヤを引き上げる.するとリニア車体はわずかに沈み，超電導磁石の強力な磁界が浮上案内コイルを横切って電磁誘導が起こる.浮上案内コイルの下部ループには超電導磁石と逆の極性を生じる誘導電流が生じ，その電流は8の字に交叉して上部ループでは逆方向に流れる(図2).その結果,下部ループでは斥力(車体を押し上げる方向の力)，上部ループには引力(巾:体を引き上げる方向の力)が生じる(図3).現行リニア車両は約10 cm沈んでバランスするように設定されている.なおこの電磁誘導はリニア進行方向への抵抗となり，膨大な電力消費の要因ともなる.