GMAW,FCAWにおける拡散性水素に及ぼす溶接ワイヤ関連因子の影響

摘要

産業の高能率化の要求に応え，構造物の大型化は日進月歩で進んでいる．技術の進化によって，今日では東京スカイツリーに代表される超大型建築構造物や，20，000個積みの超大型コンテナ船が建造されるようになっている．構造物が大型化される際には，それに伴って部材の強度や剛性を高めるために鋼材の厚板化·高張力化が行われる．しかし，鋼材の厚板化·高張力化は，溶接を行う際の低温割れ感受性を増大させる為，溶接施工管理を難しくする問題につながる．低温割れの要因は，大きく4つに分類され，①母材の要因（炭素当量等），②水素に関する要因，③残留応力などの力学的要因，④溶接部の熱履歴，である．