目でみるトレーニング：解答問題：1001

摘要

正解D:診断慢性好酸球性肺炎.好酸球性肺疾患は,気管支肺胞洗浄液の好酸球増多,または肺生検組織で示される肺実質や間質への好酸球浸潤を特徴とし,種々の疾患が含まれる.末梢血の好酸球数は増加していない場合もある.寄生虫,薬剤など原因のある好酸球性肺炎，アレルギー性気管支肺真菌症,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症,また好酸球浸潤をきたす他の肺疾患や全身疾患を除外したうえで,原因不明の肺限局性の好酸球性肺疾患としては単純性好酸球性肺炎,急性好酸球性肺炎(AEP),慢性好酸球性肺炎(CEP)と分類される.急性好酸球性肺炎は，喫煙などの吸入曝露や薬剤曝露が契機となり厳密には特発性ではない.AEPとCEPは,「急性」と「慢性」の違いであるが臨床経過の違いだけではなく,病態が異なり別個の疾患である.CEPは女性に多く,大部分は非喫煙者である.半数以上で喘息の合併があり，症状が発現して,1?4カ月で診断される.末梢血好酸球は9割程度,IgEは約半数で上昇する.血沈やCRPの上昇もみられるが非特異的である.画像所見では肺水腫の"'photographic negative"やあるいは逆 butterfly shadowといわれる外層優位の非区域性のコンソリデーションが有名だが，みられるのは25程度である.上肺野優位のコンソリデーションや移動するコンソリデーションが約半数でみられる.特発性器質化肺炎との区別は組織への好酸球浸潤の有無の違いでしか判断できないこともある.気管支肺胞洗浄液(BALF)の好酸球数は30以上が基準とされ,組織像では，好酸球および組織球の肺胞腔への滲出が特徴であり,好酸球の間質への浸潤,好酸球性膿瘍，多核巨細胞,器質化肺炎もみられる.