社会復帰と就労支援をサポートする心臓リハビリテーション

摘要

罹患後も就労を継続する心血管患者に対して,心臓リハビリテーションは有効なプログラムで ある.心血管患者に対する両立（就学?就労）支援は，保険適用となっているが,いまだ普及して おらず,各病院において多職種で対応する必要がある.心血管患者における両立支援の背景:まず,心血管疾患は“cure （完治）”という概念が 少ない.年齢を経るとともに発症リスクは高まり, 再発を繰り返す可能性のある病気であり,生涯にわ たって付き合っていく疾患である.心血管患者の人 数は，厚労省の「平成29年患者調査」によると172 万9,000人と報告されている.「令和2年度患者調 査」では,循環器系の疾患での総数102万1,000 人であり，65歳以上は81万8,700人と,高齢化 が進んでいる現在はさらに増加していることが予想 される（図1）.このうち就労世代（15?64歳）は 19万6,600人と,循環器系疾患全体の19%とされ ているが,最近は65歳以上でも就労している人口 は906万人（2020年総務省統計）と多く,65歳以 上の就労率は25% （男性34%,女性18%）である ため,40万1,300人もの心血管患者が罹患後の就 労のサポートを必要としていると試算される.この 就労支援に関しては多職種による介入を要するた め,退院後の回復期維持期心臓リハビリテーションプログラムが両立支援に利用されやすい.