ATPふき取り検査（A3法）の開発と応用

摘要

厚生労働省の食中毒統計資料、年次別食中毒発生状況をみると1998年（平成10年）の事件数3,010 件、患者数46,179名をピークに徐々に事件数、患者数は減少し、2020年（令和2年）には、事件数が 900件弱、患者数が15,000名弱で推移している。 その間、大腸菌0-157、黄色ブドウ球菌、ノロウィル スなどを原因とした大規模な食中毒事件が発生しており、その度に、行政、食品工場、調理施設が対策を 施し、食中毒発生の減少に努めてきた。食品市場の変化や衛生管理の手法、流通機能の向上により、発 生原因は時代と共に変化しているが、食中毒予防の3原則「つけない」「ふやさない」「やっつける（殺菌す る）」は、今も昔も変わらない。さらに、感染カの強いノロウィルスによる食中毒予防のために、従業員の 健康管理、手洗いを実践して、ウィルスを「持ち込まない」ことも徹底されてきた。そのことは、新型コロナ ウィルス（SARS-CoV-2）の感染対策にも活かされ、クラスターが発生して生産活動が停止しないための 予防策として、従業員の健康管理、手洗いの実践が強化されている。