車軸の超音波探傷における反射点のずれによる影響の評価

摘要

鉄道車軸の超音波探傷では，中実車軸の場合は車軸の側面から，中ぐり車軸の場合は探傷へッドを揷入して中ぐり内面から，それぞれ斜角探傷が行われています。車軸には，平行部(自由境界面)や車輪座(はめ合い面)が存在しますが，こうした境界面に超音波が斜角入射するとき，超音波の反射点が境界面に沿ってずれる「音束変位」が生じることが知られています。本研究では，上記の2種類の境界面を対象として，まず，超音波の境界面への入射角と音束変位との関係を解析的あるいは数値的に導出し，有限要素モデルを用いた計算でも音束変位が生じることを確認しました。そのうえで，車軸の表面きずを超音波探傷したときに.音束変位が探傷結果に及ぼす影響について，(1)きずと幾何学的に相対する位置に探触子を配置したときの反射波のずれ，および(2)ェコー高さが最大となる探触子位置からきず位置を推定したときの誤差，の観点から理論的に評価しました。