手術可能な口腔がんにおける下顎骨温存を比較する術前化学療法+手術の前向き第Ⅱ相非盲検ランダム化比較試験

摘要

背景世界的に年間約90万人の患者が頭頸部がんと診断さ れ,年間40万人以上が死亡しており,米国での全がんの うち頭頸部扁平上皮がんは約3%を占めている。特にロ 腔がんと咽頭がんは,米国の新規がん症例の2.8%を占 め,2021年時点では,新規がん症例数54,010人，がん死 亡者数10,850人を占めている。頭頸部がんは,疼痛,機 能障害，外観の変化を来すことが多いため，この10年 間で標準治療の改善，放射線治療の進歩，臓器温存手術 技術の強化が試みられ，進歩を遂げている。口腔扁平上 皮がんでは，病変の状態によって外科的治療に伴い下顎 骨切除を行う手術が必要となることがある。Licitraらによる先行研究とZhongらによる先行研究2）では,ロ 腔がんにおける術前化学療法について評価し生存率に 有益性は確認されなかったものの，術前化学療法が生存 率と外科手術介入の軽減に寄与した有益な部分的集団を 明らかとした。Chaukarらは，術前化学療法が下顎骨温 存に役割を果たし,より保存的な手術を可能にするかに ついて検討する研究を行っており,当該試験はその研究 を第Ⅱ相試験で検証した報告である。