麻疹ワクチン

摘要

麻疹は感染力が高く,成人で重篤になる感染症である.麻疹排除国は多く存在するが,根絶が非常に難しい疾患である.疾患の好発は20代以降になってきている.ワクチン効果の持続性は比較的長いが,日本では2回接種ができていない成人が多い.20~40代の成人においてはワクチンの追加接種が推奨される.麻疹は,古来より「命定め」の疾患として知られていた.結膜炎や上気道炎などのカタル症状に引き続き,高熱と全身性の発疹,高 度な粘膜障害を呈する.肺炎，中耳炎,角膜 炎,急性脳炎などを合併し,小児と比べて成 人で重篤化しやすい.空気感染により伝播 し,感染カが非常に高く,疾患の制御には高 いワクチン接種率が求められる.2015年に は日本は排除国として認定を受けたが，海外 からの伝播を契機とすると考えられる大小さ まざまな流行事例がいまだに国内でも生じている.