目でみるトレーニング問題1065

摘要

症例62歳の女性.右手利き. 主訴右手が使いにくい.既往歴特記すべき既往なし.治療中の疾患 はない.現病歴2年程前から右手が使いにくいこと を自覚していた.近医を受診して頭部CTを 施行されたが,特に異常はないと言われた. 次第に，書字やボタンの留め外し，箸の使用 など右手の巧緻運動が不自由になり，歩行時 に右下肢が出にくくなった.また，右手が勝 手に動き，自分の意志で制御できなくなるこ とがしばしばあった.最近，物の名前や言葉 が思い浮かばず,発語がうまくできなくなっ てきたため受診した.身体所見 身長152 cm,体重52 kg.血圧 120/68 mmHg,脈拍 70/分，整.体温35.8℃. 意識は清明で，認知機能障害は明らかでない. 発語はやや努力性で，非流暢であるが，言語 理解は良好である.対光反射は正常で，眼球 運動に異常を認めない.四肢の筋力は正常だ が，歩行はやや前傾姿勢,小刻みで，右側の すくみ足を認める.腱反射は正常で，Babinski徴候は認めない感覚障害は明らかでない. 右上肢に,衣服をまさぐるような不随意で無 目的な動きがみられた.