再生可能エネルギーの発電拡大による電力卸売市場の価格低減効果: JEPXにおけるメリットオーダー効果の定量分析: JEPXにおけるメリットオーダー効果の定量分析

摘要

産業革命以降、人間活動に伴う温室効果ガスの排出量の増大によって引き起こされる気候変動が世界中で猛威を奮っている。その抑制のために、2015年パリ協定に世界各国が批准し、日本においても、2020年10月に菅元首相が所信表明演説において「2050年カーボンニュートラル」を宣言して以降、脱炭素に向けて社会が大きく変化してきている。日本の温室効果ガス排出量の4割近くは発電に伴うものであり、脱炭素目標達成に向けて、現在の発電方法から、よりCO_2の少ない再生可能エネルギーへの転換が求められている。第6次エネルギー基本計画においても、「S＋3Eを大前提に、再生可能エネルギーの主力電源化を徹底し、再生可能エネルギーに最優先の原則で取り組み、国民負担の抑制と地域との共生を図りながら最大限の導入を促す。」と記述されている。しかしながら、現状では日本の再生可能エネルギーの普及は世界各国と比較しても進んでいるとは言えない状況にある。よって、日本の脱炭素を達成するためには、風力や太陽光などの再生可能エネルギーによる発電のより一層の拡大が喫緊の課題である。