特集にあたって

摘要

甲状腺機能亢進症に使用される薬剤は，チアマゾール，プロピルチォゥラシ ル.無機ヨウ素薬のみで，低下症に使用されるのは主としてレポチロキシンで す。いずれもかなり歴史のある薬剤ばかりで，新薬は開発されていません。一 方，古い薬剤であるにもかかわらずチアマゾール，プロピルチオゥラシルの催奇 形性，副作用，投与方法について新知見が報告されています。近年，甲状腺機能 検査が精密になったことで，これまで区別できなかった正常と潜在性甲状腺機能 異常症が鑑別できるようになり，より緻密な治療が求められるようになりまし た。若年，青壮年，高齢者で甲状腺機能の基準範囲が異なることや，分子標的薬 など新しい薬剤による甲状腺機能異常も問題になっています。