胃粘膜下層に髄外造血巣を形成した骨髄線維症

摘要

症例は69歳の男性。JAK2V617F変異陽性の骨髄線維症に対して，ルキソリチニブ50 mg/日で の治療を受けていた。貧血の悪化と黒色便が出現した。上部消化管内視鏡検査で出血性胃漬瘍を認 めた。内視鏡では止血困難であり幽門側胃切除を行われた。病理検査では粘膜内に限局する腺がん細胞（A，実線矢印）を認めるとともに，粘膜下にそれら とは明らかに形態が異なる細胞集団（A,点線矢印）を認めた。それらの細胞集団では，小型の細 胞の集簇（B)や大型の細胞（C)がみられた。小型の細胞集団はglycophorinA陽性（D),大型の 細胞はCD42b陽性（E)であり，それぞれ赤芽球島，巨核球であると判断した。骨髄線維症に伴い 胃の粘膜下層に髄外造血巣が形成されたと考えられた。