クームス陰性自己免疫性溶血性貧血の診断と分類

摘要

自己免疫性溶血性貧血（AIHA）の5～10%に直接クームス試験（DAT）陰性例（クームス陰性AIHA）があり,診断に苦慮することがある。多くはDAT感度以下の赤血球結合IgGが原因であるが,低親和性IgGやIgA/IgM自己抗体を考慮した検査を行うと網羅的な診断と分類が可能となる。クームス陰性AIHAの17%はこれらの検査は陰性で，ほかの溶血性貧血の否定とステロイド反応性から「臨床的に診断されたクームス陰性AIHA」 であり，診断や治療が遅れる可能性が高く低親和性IgG例と比較すると予後不良であるが，ステロイド治療前に検査を行うと4%に減少する。DAT陰性の溶血貧血患者を診る際には，クームス陰性AIHAも考慮して,治療前に専門機関での検査を行う必要がある。