淀川城北ヮンド群の保全活動の現状: 市民，専門家，行政の協働による外来生物駆除と河川生態系保全の取組み

摘要

城北ヮンド群は生物多様性，とくに豊富で多種類の淡水魚が生息していることで知られる淀川下流にあり，1970年代から多様な河川生態系の保全?再生活動が続けられているが，本文は2000年代以降の魚類生態系の再生に焦点を当てている。すなわち，はじめに2006年のイ夕センパラ未確認を受けて，市民，専門家，行政がそれぞれおよび協働して進めた生息環境の改善活動?事業とイ夕センパラの再導入に至る過程について紹介した。さらに，淀川生態系の再生を目指して市民団体，専門家や大学，行政部局が連携する淀川水系ィタセンパラ保全市民ネットワーク（略称ィ夕センネット）が再導入前から現在までの10余年間に行なってきた城北ワンド群の一部を対象とした外来魚駆除活動について述べ，駆除活動の結果から得られた対象水域の生息魚類相の変化?再生について述べた。最後に，再導入から10年間におけるイ夕センパラの生息状況の経過についても述べた。