涙道スキルトランスファーの概要と役割

摘要

涙道内視鏡手技の代替模型を使用した医療技術トレーニングとしてはdry labのi-シミュレーターと,ご遺体を用いたcadaver labがある.涙道スキルトランスファーはdry lab に該当する.過去の受講者に本実習のアンケート調査を行った結果,受講者の8割以上が涙道 内視鏡未経験または初心者であったが，その内約8割の受講者が涙道内視鏡手術を開始してい た.そのため涙道模型によるトレーニングは,涙道内視鏡手技の習得の導入として有効である が，実臨床とは乖離があり，そのギヤツプを埋めるトレーニング教材の充実が望まれる.これまでの手術教育は,主として座学から得ら れる知識と実際の手術の場で上級医から学ぶ手術 手技,いわゆるOn-JT(on the job training)での 経験の伝達により行われるものが主体であった. しかし，近年，医療安全への社会的な関心が高ま り，現在の高度で複雑な手術治療を安全に提供す るためには，手術手技の修練をいきなり患者で行 うのではなく，手術室外でのトレーニングOff-JT (off the job training)の必要性が広く認識される ようになった.