ブタの外科的採胚における切開部位の検討

摘要

種豚を衛生的に農場へ導入する方法の 一っとして胚移植が挙げられるが,胚移植を 行うためには胚の採取が必要不可欠である。 一般的な採胚方法は，豚を手術台に仰臥位で 寝かせ正中線上を切開し外科的に胚を採取す る方法（従来法）だが，正中線上の切開創は術 後に腹圧がかかりやすいため，ヘルニアにな るリスクや，豚が腹ばいで寝ることにより術 部が汚染され，炎症や化膿を起こすリスクが 懸念される。そこで，こういったリスクの低 減を図るため，正中線切開と代替可能な切開 位置について検討した。また，採胚時には， 切開範囲の狭小化を目的に,直腸に手を入れ て直腸粘膜側から卵巣を切開部へ誘導（以下， 卵巣誘導）する方法の有効性も検証した。