秋吉台の成り立ち（地質、地形) -秋吉石灰岩の特徴と形成場-

摘要

秋吉台は，主として石灰岩で構成されている。石灰 岩は，炭酸カルシウムの殻をもつ生物遺骸が集積固化したものである（石灰石鉱業協会，2005)。石灰岩 は，決して特別な岩石ではなくて，世界の堆積岩の半 分以上を石灰岩が占めている。セメントなどの骨材の ほか，パンや砂糖などの食料品，紙の材料などにも用 いられている（石灰石鉱業協会，2019)。山口県美祢 市東部に広がる秋吉台の石灰岩は，秋吉石灰岩と呼 ばれている。台地の中央を南北に流れる厚東川を境に して，西側の西台と東側の東台に分かれている。西台 は，開発地域で，宇部興産伊佐セメント工場や，住友 セメント秋芳鉱山などによって，石灰石の生産が行わ れている。一方，東台は，1955年に秋吉台国定公園に， 1964年に特別天然記念物に指定されており，カルス ト台地や鍾乳洞の保護が行われている。秋吉台を含む 美祢巿全域は，Mine秋吉台ジォパークという名称で， 2015年に日本ジォパークに認定された。この地域には， 石灰岩以外に，石炭鉱山や銅鉱山などがあり，昔から 地域の暮らしを支えてきた。中でも，石灰岩は，現在 も稼行中で，鍾乳洞やカルスト台地は，観光資源としても，市民の生活を支え続けている。ジォパークでは， 地質、地形資源の価値を知り，学び，ガイドツアーな どを通じて，地域振興を進めようとしている。本稿は， Mine秋吉台ジォパークとしての石灰岩の地質的価値 について，その形成プロセスから紐解き，その重要性 を明らかにすることを目的にしている。