日本住血吸虫症は世界保健機M(WHO:World Health Organization)が定義する18種類の「顧みられない熱帯病」の一つである。本症は死に至る重篤な疾患として日本でも恐れられていた。現在.日本では患者ゃ患畜がいないことから,感染の機会はないとして安全宣言が出され,撲滅対策は中止されている。しかしながら.中間宿主貝は未だ国内に生存していることから,輸入感染症として再興が懸念されている。そのため,予算の裏付けがない状況下で,甲府盆地や千葉県小櫃川流域の生息地では安価で効果的な地理情報システム(GIS:Geographic Information System)を用いたリスク監視が行われている。本稿では,これらのGISによる日本住血吸虫症のリスク管理における,筆者が関与した調査·研究事例について述べる。また,デング熱,チクングニア熱,ジカ熱,マラリアなどの世界的に重視されている感染症を媒介する紋の生態や動態の解明に貢献している,GISの活用事例についても紹介する。
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