営農型太陽光発電による再生可能エネルギーを 活用した農業生産の電化に関する展望

摘要

営農型太陽光発電（ソーラーシェアリング）と は、水田や畑といった農地の上空に太陽光パネル を設置することによって、従来通りの作物を継続 しつつ農業生産と再生可能エネルギー生産を両立 させることを目指す事業（図1)である。2013 年3月末に農林水産省から「支柱を立てて営農を 継続する太陽光発電設備等についての農地転用許 可制度上の取扱いについて」とする通知が発出さ れ、全国各地で取り組みが広がってきた。当初は 再生可能エネルギー電気の固定価格買取制度 (FIT)を活用した全量売電スキームにより、営 農型太陽光発電に取り組む農業者の所得向上を図 ることが大きな狙いであったが、近年は農業のエ ネルギー転換,自給,脱炭素化といった観点が注目されつつある。世界的な資源価格の上昇や、 2050年に向けたカーボンニュートラルの達成と いう政府目標、そして農林水産省からもみどりの 食料システム戦略によって農林水産業のゼロエ ミツシヨン化を目指す動きが広がる中で、農地に おいて再生可能エネルギー発電を行い、農業生産 や農村部の生活に必要なエネルギーを賄っていく ために営農型太陽光発電を活用しようという視点 で注目を集め始めた。