Sagging eye syndrome と heavy eye syndrome が原因の 複視への治療方針

摘要

Sagging eye syndrome(SES)と heavy eye syndrome(HES)は眼窩プリーの異 常により発症する斜視疾患である.両疾患とも,LR-SRバンドの障害で発症するが,その病態 は異なる.SESはしR-SRバンドの加齢性変化により開散麻痺様内斜視や外方回旋を伴う微小 上下斜視を発症する.一方，HESは強度近視による眼球延長により,眼球後部が外直筋と上直 筋の間に脱臼し,物理的にL R-SRバンドを障害し，内下斜視を発症する.両疾患で手術方法 が異なるため,診断が重要である一方,両疾患が合併する場合,治療方針決定に苦慮する.本 稿では,両疾患の特徴と相違点，それぞれの手術方法について解説する.