日本国内における交通騒音の曝露反応関係: 社会音響調査データアーカイブ（SASDA）を利用した二次分析

摘要

社会音響調査データアーカイブに収納されているデータセットと近年の調査により得られた新たなデータセットを加え，カットオフ値72%とした場合の，我が国における時間帯補正等価騒音レベルと高度のアノイアンスの反応率との関係を報告した。併せて，ガイドラインで示された曝露反応関係との比較も試みた。特に，ガイドラインとの比較から，我が国における高度のアノイアンスの反応率が，高い傾向にあること示唆された。ガイドラインでは，アノイアンスのカットオフ値について，一部の調査に対して60%として処理されていたこともあり，この点を調整しないと厳密な比較とはならない。しかし，カットオフ値が小さいデータを含めると，アノイアンスの反応率そのものは高くなることから，カットオフ値を揃えれば，両者の差は広がるはずである。このことからも，ガイドラインで示された曝露反応関係を用いて騒音政策を検討することは，その影響を過少評価する危険があることに留意すべきと考える。