網膜腫瘍

摘要

代表的網膜腫瘍は,網膜芽細胞腫,網膜星状膠細胞過誤腫,網膜毛細血管芽腫,網膜血管増殖性腫瘍,網膜色素上皮腺腫/腺癌,網膜硝子体リンパ腫であり,過誤腫と血管性病変 は全身の母斑症に関連することがある.近年の眼底画像診断技術の進歩はめざましく,眼底周 辺部に生じた腫瘍も描出可能となってきた,しかし,さまざまな悪条件のため満足な画像検査 ができないことも多い.診断の第一歩は,網膜組織に局在もしくは由来の証拠をつかむこと, すなわちOCTやBモード超音波検査等による解剖学的検査と,OCT血管造影や蛍光眼底造影 による栄養血管の同定である.脈絡膜腫瘍による網膜剝離が漿液性であることが多いことに対 して,網膜腫瘍は硬性白斑を伴った滲出性網膜剝離を伴うことが多いことも診断の参考にな る.本稿では,上記に挙げた各々の疾患の概要,原因,症状,鑑別疾患,および画像所見のポ イントを解説した.