日本版フェイクミート: 「もどき料理」の今昔

摘要

肉食品には様々な環境的課題が指摘されている。放牧のための広大な土地の開拓，家畜の飼育に必要な大量の穀物や水の確保，あるいは牛が発するメタンガス等々，いずれも放置できない問題である。今後，肉食品に代わるクリーンミート(培養肉)，フェイクミート(代替肉)などの活用がさらに強く叫ばれるようになるのではないか。そのような状況下，日本ではすでに古い時代からフェイクミートの試みが続けられていた。「もどき料理」と呼ばれるものである。本稿では，日本版フェイクミートとも呼びうる「もどき料理」の歴史を振り返るが，それは以上のような状況を念頭においている。