カンボジアにおける シャムヮニ養殖

摘要

カンボジア人にとつて、古くはクメ Hル王朝時代のころよりヮニは身近な生き物であった。現在ではカンボジア国内で、大小合わせ949以上ものヮニ養殖場があり、飼育下のシャムヮニ{Crocodylus stamensls)成I個体数は世界一である。しかしながら、それらの多くは小農家規模で、ブタゃニヮトリなどほかの家畜や農作物との兼業である。また、カンボジアではヮニを育てて皮や肉などにして販売する養殖場はほとんどなく、ふ化直後の稚ヮニ (本稿では、ふ化後1年以内のヮニを指す)を国外、主としてベトナムとタイに販売する手法が主流である。力ンボジァ農林水産省の調べでは、年間3万6000匹の稚ヮ二が出荷されている。この流通形態は、資金不足から設備投資や長期間の飼育ができないこと、国内での皮革産業の不足、国内での皮や肉の需要の少なさが大きな原因と考えられる。さらには、最近では年々下落する稚ヮニ価格やエサにする魚(トンレサップ湖の天然淡水魚)の漁獲量低下による価格の高騰と供給量不足により、ヮ1一養殖での生活基盤はますます不安定になってきている。