ダウン症候群の習慣性股関節脱臼に対し手術治療を行つた1例

摘要

関節包縫縮およびSalter骨盤骨切り術と大腿骨内反骨切り術を併用し治療を行った，ダ ゥン症候群の1例を経験じたので報告する.症例は4歳のダウン症候群女児.歩容異常と単純X線 画像における右股関節脱臼を認め，当科紹介となった.全身麻酔下に徒手整復を行い，ギプス固定 後，装具を作成し経過を見ていたが，転倒等により再脱臼を認め，初診時より約1年4か月後に右 股関節に対し手術を施行した.大腿骨内反骨切り術と関節包縫縮による観血的整復術を予定したが， 透視下で股関節屈曲?内転での脱臼を認め，臼蓋側の被覆も必要と判断しSalter骨盤骨切り術も併 用した.術後は8週間ギプス固定と3か月間装具装着を行った.現在歩行も行っている力脱臼は 認めず，骨切り部の骨癒合も認めている.関節弛緩による股関節の異常可動性，大腿骨形態の異常， 臼蓋形成不全を認め，保存治療で改善しない症例では，手術治療を考慮する必要があると考えられた.