オーバービュー

摘要

次世代シークェンサ一に代表される技術革新および新 規分子標的薬の創薬，それを基盤とした大規模臨床治 験?試験により，造血器腫瘍の診断と治療は大きな進化 を遂げている。本特集「臨床血液学-診断と治療におけるパラダィムシフト2020-」では，骨髄性腫瘍に関 して，急性骨髄性白血病(AML)と骨髄異形成症候群 (MDS)を話題に，4人のエキスパートの先生方に詳細 な解説を頂いた。AML幹細胞については，合山進先生（東京大学医科 学研究所）に執筆頂いた。1990年代John Dickらによ り，AMLにおいて初めてがん幹細胞の存在が実験的に 証明された。マルチカラー?セルソーターを用いて AML検体から純化された，造血幹細胞と同一のフエノ タイプであるCD34~+CD38~-細胞のみが免疫不全マウス に連続的にAMLが再構築された。四半世紀が経過し， フローサイトメトリーの細胞純化能の向上，免疫不全マ ウスへの効率良いヒト造血系構築の改良により，真の幹 細胞ポテンシャルを有するAML幹細胞の詳細な解析が 進んでいる。加えて，ゲノム変異解析，トランスクリプ トーム解析，ェピゲノム解析，メタポローム解析など革 新的な技術進化により，AML発症および再発のクロー ン進化機構が詳細に検討されている。本稿では，AML 腫瘍免疫についても解説を頂いた。