連続最適化に基づくヒトのスクワット運動再現モデルの定式化

摘要

スクワット運動を座り動作と立ち上がり動作に分け，両動作を連続的に最適化する3関節スクワット運動最適制御モデルが提案されている．このモデルは，座り動作過程での目標値，即ち，座り動作から立ち上がり動作に切り替わる時間（動作切り替わり時間）での状態変数値の指定が困難であった．本研究では，従来モデルの問題点を解決するため，動作切り替わり時間での状態変数値を予測する手法を提案し，その有効性を検証する．その結果，（1）動作切り替わり時間での関節角度，角速度，トルク，全運動時間が，重心最小高さの一次関数として予測できること，（2）動作切り替わり時間での状態変数予測値を用いて再現したスクワット運動軌道が実測軌道と良く一致すること，（3）動作切り替わり時間には全評価関数を極小にする最適値が存在することが示される．以上の結果は，本提案モデルがスクワット運動機構の数理モデルとして有効であること，及び，動作切り替わり時間とその時の姿勢情報がスクワット運動を実現するための要因になり得ることを示唆する．