水の安全保障とSDGs

摘要

地球上の最大の流体は水である．その流体を駆動しているのが，太陽エネルギーであり，地球に降り注ぐ17万7千TW（テラワット）のうち約4分の1の4万1千TWが，地球上の水の三態（液体の水，気体の水蒸気，固体の氷）を動かし，いわゆる気候·気象現象の駆動力となっている．ではその動かされている水資源はどのくらいあるのか．地球上の水の量は，約14億km~3と言われ，このうち97,5%は海水で，残りの2.5%が淡水であるが，その大半は南極大陸などの氷床や氷山で，残りは地下水である．これらの水資源は常に太陽エネルギーにより水の大循環を繰り返している．しかし人間が使える再生可能な水資源（河川，湖，沼の水）は地球上の水のわずか0.01%しかない．この希少価値である少ない水資源を巡って，世界中で混乱や争いが頻発している．世界で起こっている水資源問題の要因として，「人口の増加」，「水をめぐる争い」，「地球温暖化の影響による水の偏在」などが挙げられる．