粗水素から水素を抜き出す世界初の分子技術: 「粗水素活用社会」への扉は開かれた！？: 「粗水素活用社会」への扉は開かれた！？

摘要

水素（H_2）は製鉄やアンモニア製造、石油精製などに利用される重要な還元剤である。さらに、その顕著に高い重量当たりのエネルギー密度（ガソリンの3.1倍となる142MJ/kg）や、また燃焼時における環境負荷の低さ（副生成物はH_2Oのみ）から、H_2は未来の社会活動を支えるクリーンかつグリーンなエネルギーキャリアとして期待されている。H_2を効果的に活用する水素社会を迎えるにあたり、H_2の国内需要は2030年には300万トン、さらに2050年には2,000万トンにも及ぶと見込まれている。数千万トン/年を超える量のH_2を経済的かつ安定に供給するためにはH_2源の選択が重要であり、とくに炭素資源は中～長期的な未来にかけて、主要なH_2源として活用されると考えられる。このような炭素資源としては、褐炭や天然ガスに加え、バイオマスや都市ゴミ、家畜の糞尿も活用できることが実証されつつある（いわゆる“Waste/-to-Hydrogen”というアプローチ）。