未来を拓くサイエンス73 - 1滴の血液で13種類のがんを精度高く検出する技術の開発

摘要

一九八一年以降、がんは日本人の死亡原因の一位を占めており、二〇一八年には、がんによる死亡者数は約三七万人に上っている（厚労省平成三〇年度人口動態統計月報年計～概数の概況https：www.mhlw.go.jptoukeisaikinhwjinkou＼gepponengai18dlgaikyou30．pdf）。さらに、人がその一生の間にがんに雁患する確率は男性で約六〇%、女性で約五〇%である（国立がん研究センターがん情報サービスhttps：ganjoho.jpreg_statstatisticsstatsummary.html）。しかし、治療法は年々進歩しており、早期に発見できれば、生存率は顕著に向上する。例えば肺がんの場合、ステージIIの五年生存率は約六〇%であるが、ステージ0の患者の生存率は九七%であることが報告されている（Journal of Thoracic Oncology14，212-222 （2019）。つまり、がんに厚恩しても、早期に発見すれば生存率が遥かに高まるので、早期に発見するための検査法の開発が、長く望まれてきた。