海外エネルギー事情 101 フランス 原子力大国フランスの洋上風力開発

摘要

フランス政府は二〇二一年四月二六日、洋上風力開発では同国で八番目となるブルターニュ沖プロジェクトについて、建設主体候補として六社を選定した。続いて五月一〇日には七番目のダンケルク·プロジェクトについて、建設主体のフランス電力（EDF）などの企業グループが計画の継続を発表した。フランスでは、本誌六月号で紹介したように、今後の電源開発の中心の一つは当然、原子力であるが、もう一つは再生可能エネルギーである。二〇一一年の福島第一事故後に誕生した社会党政権は、一種類の電源への過度の依存は安定供給上リスクが高いとし、当時七五%以上あった原子力発電比率を低減する一方、太陽光、風力などの再生エネ電源の開発を推進する政策に転換した。一七年に誕生した現マクロン政権も、基本的にこの政策を継承している。同政権は三五年までに原子力比率を五〇%（二〇二〇年六七%）に低減する一方、三〇年までに再生エネ比率を四〇%（二〇二〇年二五·五%）に引き上げるとしている。