進行肝悪性腫瘍に対する「コンバージョン」手術の意義を再考する

摘要

薬物療法の進歩は大腸癌肝転移,肝細胞癌 に対する手術治療の門戸を広げたが,進行症 例に対して臨床的に真に意義のある外科的介 入に求められる条件については一定の見解が ない。それは腫瘍外科学の世界が腫瘍内科学 のように試験的治療や無作為化ランダム比較 試験の結果をもって単純に組み上げることが できないためであり,科学的なエビデンスよ りも外科医の経験やそれに裏打ちされた臨床 の勘に頼る部分が大きいことが理由の1つとし て挙げられる。