胸水ドレナージ術が奏効した高齢者HHV8陰性体腔液リンパ腫

摘要

原発性体腔液リンパ腫(primary effusion lymphoma, PEL)は,腫瘤形成を欠き,胸水，腹水，心囊液等，体腔液のみに病変を認める成熟B細胞腫瘍である。後天性免疫不全患者に好発するヒトヘルペスウィルス8型 (human herpesvirus 8-negative, HHV8)が関与する体腔液リンパ腫(effusion-based lymphoma, EBL)が広く知られる。本邦では明らかな免疫不全のない高齢者に発症するHHV8-negative EBLが散見され,体腔液ドレナージのみでの軽快例が存在するが,多くは全身化学療法が選択されている。今回，合併症を有する高齢者の HHV8-negative EBL 2例に，全身化学療法の回避を目的に体腔液ドレナージのみで疾患コントロールを試みた。