発電事業·激動の10年を振り返って 第6回 海外の電気事業の動向

摘要

海外の電気事業者、特に、欧州の電気事業者は、その国のエネルギー政策により経営に大きな影響を受けている。特にドイツは再生可能エネルギーの拡大を意図して、最も早く固定価格買取制度（FIT）を導入し、現在、再生可能エネルギーの比率は42.6%に達している。再生可能エネルギーは優先的に電力系統に投入されるため、火力発電の稼働率が下がり、大手の電力会社の業績が急激に悪化している。このため、燃料コストの高い、最新鋭のコンバインドサイクルを停止させ、燃料コストの安価な国産の褐炭を利用した効率の悪い褐炭火力を運転している。このため、CO_2の排出量が増加する現象も現れている。米国の電気事業者事業者は様々な事業形態で数千社存在する。エネルギー生産の面ではシェールガス革命の恩恵を受け、エネルギーの輸出国に転じている。本稿ではこのような、海外の電気事業の動向について欧米を主体に紹介する。また、太陽光、風力発電等の変動性再生可能エネルギーが増大した場合の出力変動対策の事例についてAPPF報告書の概要を紹介する。