M-X推進上の業務改革の柱とその解決策·投資効果

摘要

三菱電機グループは，事業及び業務の両輪でのデジタルトランスフォーメーション（DX: Digital Transformation）を推進している。このうち，業務DXについては“M-X（エムクロス）”の愛称でプロジェクトを進めている。従来，当社グループでは，事業特性に応じて業務プロセス，管理データ，情報システムを個別に最適化することで強みを確立してきた。しかし，その結果，当社グループ横通しでの情報の共有·把握が難しく，迅速な意思決定に対する障害，情報収集や組織間の情報バケツリレーによる従業員の業務負荷増加等が顕在化している。また，当社グループの情報システムでも，個別化·分断化に起因する技術課題や要員·予算不足等によってタイムリー性を欠いており，費用の増加や将来的な老朽化リスクを内包している。それに加えて，当社の昨今の品質不適切事案に対する客観性·実効性を備えた再発防止策の速やかな導入が不可欠になっている。当社が社会からの信頼を回復し，持続的な成長を実現するため，グローバル連結視点を重視した経営管理メッシュの統一やデータ一元化，組織間で類似.重複している業務と点在する情報システムの集約化，当社の多様な事業を推進するための部門を越えたデータ活用，そして人的介在の最小化·恣意的なデータ変更を不可能にする内部統制の体制·システム構築を進めていく。