Trueperella pyogenes の 新規同定用PCR法

摘要

COVID-19の流行からも明らかなように、感染 症はわれわれの生活に大きな影響を与える可能 性がある。感染症が発生した場合、原因微生物 を迅速かつ正確に検出同定することがその対 策をする上で極めて重要となる。近年では、検 出や同定に微生物の遺伝子（核酸）を特異的に 増幅するPCR技術が広く普及しており、細菌感 染症においてもさまざまな菌種特異的PCR法が 感染症の診断現場で利用されている。しかし、 細菌などの単細胞生物ではゲノムDNAに生じ た変異がそのまま分裂した子孫に伝わってしま うため、遺伝子に変異が蓄積しやすく、それが PCR法の特異性に影響を与えることがある。ま た、論文等で報告されている方法であっても、使 用する試薬や機器が変わることによって報告さ れている通りの特異性や感度が得られない場合 もある。このような問題を克服し、正確な菌種同 定を行なっていくためには、必要に応じて検査法 を改良していかなければならない。