フッ素化アルキル化合物PFASによる環境汚染: 曝露の実態,汚染事例と全国的課題

摘要

フッ素化アルキル化合物(Per-and poly-fluoroalkyl substances:PFAS)は，有機化合物で炭素に結合する水素原子が複数，フッ素原子に置き換わった化合物である(図1)。1940年代に3M社によって開発され，日用品から産業用途まで幅広い分野で利用されている1。ペルフルォロオクタンスルホン酸PFOS,ペルフルォロオクタン酸PFOAはその代表的な化合物である。PFOSは泡消火剤Light Waterとして米国海軍の要請で製品化され，メツキ，半導体製造の過程，またPFOSの重合体はScotchgardとして撥水?撥油剤として，衣類，食品包装に使用されてきた。PFOAはフッ素樹脂の乳化剤として使用されてきた。製造方法の面では，3M社が通常のアルキル鎖を出発物質として電解フッ素化(ECF法)によりペルフルォロアルキル化合物を得るプロセスを使用している。他方，フッ素テロマー法では，ペンタフルォロェチルョ一ジドをもとにしり，ペルフルォロアルキル鎖を伸長させ，末端はエチレンを重合させ，種々の官能基を導入させる(フッ素テロマーアルコールなど)。さらに近年では，へキサフルォロプロピレンォキサイドを用いたポリフルォロエーテルも導入されている(GenXなど)。